付録Z-62 いくつかのポートフォリオ設計ツールを使用し、"付録Z-55" で設計した複数のポートフォリオの (Risk, Return) を計算する。
Z-62.1 はじめに
次の a) ~ d) などのポートフォリオ設計ツールを使用し、"付録Z-55" で設計した複数のポートフォリオの (Risk, Return) を計算する。そして、それらのポートフォリオの (Risk, Return) の妥当性を評価する。
a) "Portfolio Visualizer" のポートフォリオ設計ツール "Backtest Portfolio Asset Allocation"
b) "『myINDEX』 マイインデックス" の "『myINDEX 資産配分ツール』"
c) "長期投資予想/アセットアロケーション分析 ~ 投資信託のガイド|ファンドの海"
d) "バリュー平均法の道具箱 - ひと手間くわえた積立投資で資産形成"
これまでは、IEF を無リスク資産とし、Risk Premium、Sharp Ratio を手計算してきたが、ここでは、ポートフォリオ設計ツールの計算結果の Sharp Ratio の値を使用する。
設計されたポートフォリオの評価には、"付録Z-59 "投資のシロウトor初心者" のための "指数連動 ETF を利用した長期&分散投資の投資ルールの設計方法"(修正第2版)" で示した目標 (Risk, Return)=(10~15%, 3~6%) を使用する。 この Return=3~6% は、少し低すぎるので、もう少し上げてもよいかもしれない。
(注意)
この付録は、私=投資のシロウトの自分自身のためのメモである。他の方には何の役にも立ちません。他の方は見ないでください。
Z-62.2 "付録Z-55.3 投資ルールの設計例1" の (Risk, Return)
Z-62.2.1 "付録Z-55.3 投資ルールの設計例1" のポートフォリオ
ポートフォリオ=米国株式 +米国債 [+現金、預金]
= S&P500 +米国中長期国債 [+現金、預金]
S&P500=IVV or VOO or SPY
米国中長期国債=7-10年米国債 and/or 20年超米国債
7-10年米国債= IEF or VGIT
20年超米国債=TLT or VGLT
Z-62.2.2 ポートフォリ設計ツール "Backtest Portfolio Asset Allocation"
ポートフォリ設計ツール "Backtest Portfolio Asset Allocation" を使用すれば、次のようなデータが得られる。
CAGR(compound average growth rate=年平均成長率=年率リターン=Return)
Stdev(標準偏差=リスク=σ=Risk)
Max. Drawdown(最大下落率)
Sharpe Ratio(シャープレシオ)
Z-62.2.3 P=IVV(50%) + IEF(50%) の分析結果
P=IVV(50%) + IEF(50%) の分析結果=Portfolio Analysis Results (Jan 2003 - Jan 2021) は、次のとおり。
Return Risk Max. Drawdown Sharp Ratio
IVV 7.37% 14.97% -50.78% 0.46
IEF 4.84% 6.26% -7.60% 0.59
P 8.19% 6.72% -20.10% 1.02
Risk = 6.72% であり、十分に低い。
Z-62.2.4 P=IVV(25%) + IEF(75%) の分析結果
レイダリオが言ってたように、このポートフォリを固定ポートフォリオで IVV : IEF=1:3=25%:75% の固定比率で持ち続ければ、損益=±0となるか、検証してみる。
P=IVV(25%) + IEF(75%) の分析結果=Portfolio Analysis Results (Jan 2003 - Jan 2021) は、次のとおり。
Return Risk Max. Drawdown Sharp Ratio
IVV 10.45% 14.23% -50.78% 0.68
IEF 4.84% 6.26% -7.60% 0.59
P 6.63% 4.98% -7.90% 1.06
Return=6.63 で大きく低下するが、0 にはならない。物価上昇率を引けば 0 に近付く。Risk=4.98, Max. Drawdown=-7.90 も大きく低下する。
次のいずれの場合でも、P=IVV(25%) + IEF(75%) の場合と大きな相違はない。
P=IVV(20%) + IEF(80%)
P=IVV(10%) + IEF(90%)
Z-62.2.5 P=IVV(45%) + IEF(45%) + IAU(10%) の分析結果
P=IVV(50%) + IEF(50%) に金=Gold を加え、P=IVV(45%) + IEF(45%) + IAU(10%) としてみる。
P=IVV(45%) + IEF(45%) + IAU(10%) の分析結果=Portfolio Analysis Results (Jan 2006 - Jan 2021) は、次のとおり。
Return Risk Max. Drawdown Sharp Ratio
IVV 10.45% 14.23% -50.78% 0.68
IEF 4.84% 6.26% -7.60% 0.59
IAU 8.44% 17.59% -42.59% 0.49
P 8.14% 6.82% -16.73% 1.02
P=IVV(50%) + IEF(50%) の分析結果
P 8.19% 6.72% -20.10% 1.02
と比較して、
- (Return, Risk) はほとんど変化しない。
- Max. Drawdown は、-20.10%から -16.73%に低下。
- Sharp Ratio は同じ。
なので、P=IVV(50%) + IEF(50%) に金=Gold を加える効果はほとんどない。金=Gold を加える意味はほとんどない。
Z-62.3 "付録Z-55.4 投資ルールの設計例2" の (Risk, Return)
Z-62.3.1 "付録Z-55.4 投資ルールの設計例2" のポートフォリオ
ポートフォリオ=米国株式 +日本株式 [+現金、預金]
= S&P500 + TOPIX [+現金、預金]
S&P500=IVV or VOO or SPY
TOPIX=1475 or 1306 or 1308 or 1348
Z-62.3.2 P=IVV(50%) + 1475(50%) の分析結果
ポートフォリ設計ツール "Backtest Portfolio Asset Allocation" では、日本の東証コードの ETF を含むポートフォリオは分析できないようだ。
ETF EWJ でTOPIX の代用にできるか?"MSCIジャパンインデックス EWJ TOPIX 比較 - Google 検索" を参照。
下記の "付録Z-62.5" を参照。
そのため、ポートフォリ設計ツール "『myINDEX 資産配分ツール』" を使用してみた。
P=米国株(50%) + 日本株(50%) の分析結果=過去20年実績データ(2001年1月末-2021年1月末、円ベース)は、次のとおり。
平均リターン リスク シャープレシオ
米国株 6.7% 18.7% 0.36
日本株 3.5% 17.5% 0.20
P 5.3% 16.7% 0.32
リスク=16.7% は高すぎる。米国債or先進国債券を加えてリスクを下げるべきか?
P=米国株(35%) + 日本株(35%) + 先進国債券(30%) の分析結果=過去20年実績データ(2001年1月末-2021年1月末、円ベース)は、次のとおり。このポートフォリオ P は、"付録Z-55.8 GPIF の固定ポートフォリオ" に類似である。
平均リターン リスク シャープレシオ
米国株 6.7% 18.7% 0.36
日本株 3.5% 17.5% 0.20
先進国債券 4.9% 9.0% 0.54
P 5.4% 13.3% 0.41
リスク=13.3% はまだ高すぎるか?許容範囲内か?P=米国株(25%) + 日本株(25%) + 先進国債券(50%) にすればよいのか?
次の "付録Z-62.2.3 P=IVV(50%) + IEF(50%) の分析結果" と比較してみる。
Return Risk Max. Drawdown Sharp Ratio
IVV 7.37% 14.97% -50.78% 0.46
IEF 4.84% 6.26% -7.60% 0.59
P 8.19% 6.72% -20.10% 1.02
"米国株" と "IVV" の(平均リターン、リスク、シャープレシオ)の値が相違するが、誤差の範囲内か?
Z-62.4 "付録Z-55.4 投資ルールの設計例3" の (Risk, Return)
Z-62.4.1 "付録Z-55.4 投資ルールの設計例3" のポートフォリオ
ポートフォリオ=米国株式 +日本株式+新興国株式 [+現金、預金]
= S&P500 + TOPIX +新興国株価指数 [+現金、預金]
S&P500=IVV or VOO or SPY
TOPIX=1475 or 1306 or 1308 or 1348
新興国株価指数=EEM or IEMG or VWO
Z-62.4.2 P=IVV(40%) + 1475(40%) + EEM(20%)の分析結果
P={ 米国株(40%) + 日本株(40%) + 新興国株(20%) } の分析結果=過去20年実績データ(2001年1月末-2021年1月末、円ベース)は、次のとおり。
平均リターン リスク シャープレシオ
米国株 6.7% 18.7% 0.36
日本株 3.5% 17.5% 0.20
新興国株 8.9% 23.3% 0.38
P 6.2% 17.4% 0.36
リスク=17.4% は高すぎる。先進国債券を加えてリスクを下げるべきか?
P={ 米国株(30%) + 日本株(30%) + 新興国株(20%) + 先進国債券(20%) } の分析結果=過去20年実績データ(2001年1月末-2021年1月末、円ベース)は、次のとおり。
平均リターン リスク シャープレシオ
米国株 6.7% 18.7% 0.36
日本株 3.5% 17.5% 0.20
新興国株 8.9% 23.3% 0.38
先進国債券 4.9% 9.0% 0.54
P 6.3% 15.1% 0.41
リスク=15.1% はまだ高すぎる?株価と逆相関の先進国債券の比率を上げればよいか?
(参照)
"付録Z-47 投資のシロウトor初心者は今、中国に投資すべきか?" の "付録Z-47.4 新興国を含まないポートフォリオ(P1)と新興国(中国を含む)を含むポートフォリオ(P2)の(Risk, Return)の比較" を参照。
Z-62.5 "付録Z-55.4 投資ルールの設計例2" の (Risk, Return)
~~TOPIX ETF=1475 を ETF=EWJ で近似し、ポートフォリオ設計ツール "Backtest Portfolio Asset Allocation" で分析してみた。
Z-62.5.1 "付録Z-55.4 投資ルールの設計例2" のポートフォリオ
ポートフォリオ=米国株式 +日本株式 [+現金、預金]
= S&P500 + TOPIX [+現金、預金]
S&P500=IVV or VOO or SPY
TOPIX=1475 or 1306 or 1308 or 1348
ここで、TOPIX ETF=1475 を ETF=EWJ で近似し、置き換える。
Z-62.5.2 P=IVV(50%) + EWJ(50%) の分析結果
P=IVV(50%) + EWJ(50%) の分析結果=Portfolio Analysis Results (Jan 2001 - Jan 2021)は、次のとおり。
Return Risk Max. Drawdown Sharp Ratio
IVV 7.37% 14.97% -50.78% 0.46
EWJ 2.39% 18.25% -57.84% 0.11
P 5.48% 14.20% -48.96% 0.35
Z-62.5.3 P=IVV(35%) + EWJ(35%) + IEF(30%) の分析結果
P=IVV(35%) + EWJ(35%) + IEF(30%) の分析結果=Portfolio Analysis Results (Jan 2003 - Jan 2021)は、次のとおり。
Return Risk Max. Drawdown Sharp Ratio
IVV 7.37% 14.97% -50.78% 0.46
EWJ 2.39% 18.25% -57.84% 0.11
IEF 4.84% 6.26% -7.60% 0.59
P 7.83% 9.23% -31.95% 0.73
IVV と EWJ は、Portfolio Analysis Results (Jan 2001 - Jan 2021) だが、
IEF と P は、Portfolio Analysis Results (Jan 2003 - Jan 2021) 。
この差が表れている?
Z-62.5.4 P=IVV(25%) + EWJ(25%) + IEF(50%) の分析結果
P=IVV(25%) + EWJ(25%) + IEF(50%) の分析結果=Portfolio Analysis Results (Jan 2003 - Jan 2021)は、次のとおり。
Return Risk Max. Drawdown Sharp Ratio
IVV 7.37% 14.97% -50.78% 0.46
EWJ 2.39% 18.25% -57.84% 0.11
IEF 4.84% 6.26% -7.60% 0.59
P 7.16% 6.74% -19.69% 0.88
IVV と EWJ は、Portfolio Analysis Results (Jan 2001 - Jan 2021) だが、
IEF と P は、Portfolio Analysis Results (Jan 2003 - Jan 2021) 。
この差が表れている?
IEF を含めることにより、Risk=14.20% -> 9.23% -> 6.74% と大きく減少できる。したがって、景気後退期に入る前に IEF をポートフォリオに含めておくことは重要である。景気循環の全期間に渡って、固定ポートフォリオで IEF を保有すれば、リターンを犠牲にすることになるので、景気後退期だけをまたがって IEF を保有するようにする必要がある。下記の "付録Z-62.6" を参照。"付録Z-54 価格変動が互いに逆相関の2つの指数連動 ETF を同時に持つな、同時に買うな。それは正しい分散投資ではない。なぜならそれは長期パフォーマンスを低下させるからだ。" も参照。
Z-62.6 "結論"="投資のシロウトor初心者" は、どのような投資ルール= { ポートフォリオ+投資アルゴリズム } を実行すればよいのか?
//////////
// この "付録Z-62.6" は、"付録Z-63" に移行しました。
//////////
"投資のシロウトor初心者" は、約10年周期の景気循環のフェーズに対応した、下記の "可変" のポートフォリオを実行する。通常のポートフォリオ論では固定ポートフォリオである。約10年周期の景気循環のフェーズに対応する "投資のシロウトor初心者" 向けの投資ルールは、通常のポートフォリオ論の固定ポートフォリオに対する改良点である。
可変ポートフォリオ P =米国株式+日本株式+米国債
= S&P500 + TOPIX +米国債
= IVV(x%)+ 1474(y%) + IEF(z%)
x%, y%, z%は次のとおり、景気循環のフェーズに応じて動的に変化する。=可変ポートフォリオ。
景気循環のフェーズ 投資ルール
-------------------------------- ------------------------------------------------------------
1.低迷(景気後退期) 米国債券を全売却する。
P1=米国株
米国株、日本株 [、新興国株] を購入する。
2.回復(流動性相場) 米国株、日本株 [、新興国株] を購入する。
P2=米国株 + 日本株 [+ 新興国株]
3.成長(適温相場) 米国株、日本株 [、新興国株] を購入する。
P2=米国株 + 日本株 [+ 新興国株]
4.ブレーキ(業績相場) 日本株を全売却する or 持ち高を減少させる。
[新興国株] を全売却する。
米国債券を購入する。
P3=米国株 + 米国債券
5.下降(バブル&バースト) P3=米国株 + 米国債券
Z-62.7 おわりに
今後、さらに加筆し、洗練していく。
別のポートフォリ設計ツールも試行してみる。
Z-62.8 参照
"Portfolio Visualizer"
"Backtest Portfolio Asset Allocation"
"インデックス投資のことなら 『myINDEX』 マイインデックス"
"『myINDEX 資産配分ツール』"
"長期投資予想/アセットアロケーション分析 ~ 投資信託のガイド|ファンドの海"
"バリュー平均法の道具箱 - ひと手間くわえた積立投資で資産形成"
"第1章 投資ポリシー=投資ルール"
"田中泰輔:米回復下のドル安とリスクオン、年末1ドル95円予想にひるむな | 為替市場透視眼鏡 | ダイヤモンド・オンライン"
"田中泰輔:"米景気サイクルを「軟化→下降→回復→加速→成熟」の5局面に分け、同国の株式、長短金利、ドル円の巡り合わせの基本パターンを描いている.jpg"
"レイ・ダリオのオール・シーズンズ戦略 - 高卒非正規が株式投資でアーリーリタイアを目指す"
"付録Z-46 投資のシロウトor初心者は今、金=Gold を買うべきか?"
"statistics, probability theory - YouTube 検索"
ETF EWJ について
"iシェアーズ MSCI ジャパン ETF"
"EWJ=iシェアーズ MSCI ジャパン ETF Fact Sheet"
"EWJ 銘柄 - iシェアーズMSCIジャパンETF 投資信託(ファンド)情報 - Bloomberg Markets"
"MSCIジャパンインデックス EWJ TOPIX 比較 - Google 検索"
"MSCIジャパン・インデックスとTOPIX比較 - 浪費家ナッツの投資日記"
"No.7 アジアと日本の投資家に便利なETFの設定 ~「上場MSCIジャパン株」の開発背景とETFの設定・償還(交換) | コラム もっと知りたいETF | ETF(上場投資信託)|日興アセットマネジメント"
■
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。